抜き行為

媒介契約を締結していない =「抜き行為」では無い

「買い手」が、初期接触不動産会社A(以下「業者A」という)との間で媒介契約又は代理契約を締結しているにも拘わらず、後の接触不動産会社B(以下「業者B」という)が、その「買い手」を誘引して媒介契約又は代理契約を締結する事を「抜き行為」という

但し、そもそも「買い手」と業者Aが媒介契約を締結していないので有れば「抜き行為」では無く、又問題も存在しません

 

「買い手」の側から見た場合、先行する業者Aと後行する業者Bとの間で二重に媒介契約又は代理契約を締結する事になる場合も有れば、先行する業者Aとの媒介契約又は代理契約を解除して、後行する業者Bとの間でのみ媒介契約、又は代理契約を締結する場合も有る

 

いずれにしても、先行する業者Aからすれば、「買い手」を「抜かれた」ものと捉える事が出来る為、媒介契約を締結していた場合には、トラブルを招きやすい行為で有る

 

尚、「買い手」と先行する業者Aとの間で締結されていた媒介契約が「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」で有る場合には、「買い手」へ当該媒介契約に従って違約金を支払う事となる可能性が有るので、注意が必要で有る

 

又、「買い手」と先行する業者Aとの間で締結されていた媒介契約が「一般媒介契約」で有る場合には、「買い手」は、業者Aに対して明示義務や通知義務を怠らなければ、当該媒介契約に従って違約金を支払う事は無い

 

所謂「抜き行為」は、業者Aの所で、

①媒介契約の成立

②媒介行為の存在

③売買・賃貸借等の契約の成立

④売買契約等の成約と媒介行為との因果関係の存在

 

この4つの要件が全て満たされ、又は満たされる可能性が有ったのに、これを文字道り業者Bが抜いてしまい報酬を受ける故に、抜かれた業者Aに対する不法行為(民法第709条)が成立するので有る