囲い込み

大手ビジネス雑誌による「物件囲い込みによる不正」の暴露

大手ビジネス雑誌による「物件囲い込みによる不正」の暴露

 

2015年4月18日号、大手ビジネス週刊誌「週刊ダイヤモンド」によって、不動産業界の闇が暴露された。宅地建物取引業法違反にもなりかねない不動産仲介に関する「不正行為」ともいえる商慣習に関する調査リポートが業界で出回っている、との内容は、多くの人に衝撃を与えた。

 

その不正というのは、業界で「物件の囲い込み」といわれる行為だ。この行為は業界ではごく当たり前のように行われてきた事だ。ただ、世間一般の常識からすれば大幅にズレていた。

 

記事の要旨はこうだ。

仲介業者の収入の多くは、物件の売り主、買い主からの仲介手数料で成り立っている。その上限は「成約価格の3%+6万円」(成約価格が400万円以上の場合)となっている。

 

売りと買いの両方から仲介手数料を得る事ができれば単純に収入は倍増する。これを狙って、大手ほど仲介業者は、売り買い両方を1社で仕切る「両手仲介」が普通に行われてきた。

 

この「両手仲介」自体は違法とはいえない。しかし、「両手仲介」を成功させようとするあまり、違反行為が横行している事が問題なのだ。

 

売り主と専任媒介契約を結んでいる仲介業者は、他社から物件照会があった際、「すでに交渉中」等と偽って物件照会に応じない事が多い。これが「囲い込み」と呼ばれるものだが、こうした行為は宅建業法で禁じられている。これは「故意に情報を隠したり、独占する事」に当たり、違法だからだ。発覚すれば当局から改善指示が行われ、それに従わなかった場合は最悪、業務停止処分となる。

 

これが何故違法なのか。他社からの物件照会は、潜在的買い主からのアプローチな訳だから、売れたかも知れない機会の損失を招く事になる。それは、結局は値下げせざるを得ない本当の損失に繋がるからだ。売り主と専任媒介契約を結んでいる仲介業者は、売れなくてもコスト増にはならない。囲い込んで時間をかけ、倍額の仲介手数料を得られる「両手仲介」に持ち込む方にメリットが有る訳だ。

 

ここで、仲介業者とお客様の利害は相反する。

 

同誌では、2014年11月から15年2月にかけて首都圏の476物件の販売物件について、業界内部の有志が仲介業者と一般客のそれぞれを装い調査対象企業に電話して物件の空き状況を確認したところ、1割以上で「囲い込み」とみられる対応をされた事を明らかにした。

 

具体的には、仲介業者を装う電話には「既に商談に入っています」と照会を拒否したのに、一般客を装う電話に「まだ内覧した人はいないので紹介可能です」と答えた事例が、476件中50件に上ったという。記事では、こんな対応をした仲介会社の名称と担当者との電話でのやりとりも詳細に明らかにしている。

 

その50件の内訳は、「M社」が40件、「S社」が8件、「T社」が2件。いずれもテレビのCMなどで広く知られた大手だった。

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同誌の取材に対し、M社は「囲い込みなんて随分と昔の話。発覚すれば懲罰の対象だし、当社では囲い込みが発覚したケースは全くない」と答える。S社も「囲い込みの事実はない」と否定している。

 

同誌は、「週刊住宅新聞」に掲載されたデータを引用し、2013年の主要各社の平均手数料率を紹介している。M社は5.32%、S社5.33%、T社4.39%…。「手数料収入の中には賃貸収入、火災保険料収入等が含まれるケースもある」と注記しているが、片手仲介なら3%強で済むはずの数字が此れを大きく上回っている。この平均値は「両手仲介が多い」事を意味すると理解するのが合理的だ。